福島県会津の中ほどにある、周囲を1000m級の山々に囲まれた人口1200人程度の村、昭和村。
そんな山村に、とあるITベンチャー企業があります。
メンバーは4名。
29歳。30代になろうとしている若者・よそ者が、この村に移住してきたのは2017年5月。
この会社、一見ただのIT企業ですが、民泊サービスや体験マッチングサービスなど、様々な事業を手掛けています。
何やら面白そう♪
彼らは一体なぜ東京から移住し、様々な事業をしているのでしょう?
同じく若者よそ者である、私たちあいづっぺでぃあ取材班が取材してきました!
そこで見たものは、地域で若者・よそ者が生きていくための、たくさんのヒントがありました。
実際に体験してみるからこそ生まれるアイデア
---本来の事業以外に様々なサービスをされているのですね!その中でも体験マッチングサービス「SHARE BASE MATCHING」が気になりました。初めからこのサービスは考えられていたのですか?
海野さん(以下海):
マッチングサービスのアイデアは…実は当初はありませんでした(笑)
村の生活体験がとても魅力だったから、他の人たちにも体験して欲しい。
単純にそれが始まりです。
もともと「SHARE BASE」というプロジェクトは、この空き家を改修して秘密基地にしようという構想でした。
アイデアは、この村に実際に住んでみて具体化していったんですよ。
---そ、そうなんですか!?
(海):
はい笑。
村に住んてみて、知らない体験を沢山知ることができました。
例えば僕の場合、雪が降らない地域出身にいたから、『かんじき』を履いて雪道を歩く体験とか。
これは面白いですよ!
民泊サービスは、素泊まりが基本なので、お客様と村の人の関わりがないんです。
村には生活に根差した魅力が沢山あるので、この体験を外に出して行いけたら良いな、と考えました。
そして同じように、各地で隠れた魅力が掘り起こされていけば、地域の元気に繋がっていくのではないかと思ったんです。
---全国展開も視野に入れられており、会社規模もこれから大きくなりそうですね!
代表 橋本さん(橋):
その説明には、会社のストーリーを話さないといけませんね。
株式会社SATORUストーリー
(橋)もともと私たちは東京で働いていて、東京でやってきた事を軸にしながら、 空き家を改修して共有できる秘密基地を作っていこうというところから始まっております。
秘密基地をどういう事業モデルをしようかはかっちりと決めていませんでした(笑)。
---それはまたすごい挑戦ですね!
(橋):
サービスは「どんどん経験して進化させていこう」という事にしたんです。
---それまたなぜ!?
(橋):
株式会社SATORUはすでに大学時代から構想としてあり、2016年の6月に設立しました。
株式会社SATORUでは、個々が成長(進化)していくことが一番だと考えておりました。
もともと三人でみんな大学の友達、大学時代にいつかは田舎で暮らしたいね、と話していましたし。
---は、早いですね!
(橋):
ですね笑。
昭和村の祖父母の家が空き家になっていることから、大学時代から昭和村で空き家を使ってなにかやっていこうと話しておりました。
当時は経験や、資金が無く現実味がなかったのですが、大学から続く付き合いの中、30歳手前でも「本当に今のままで良いのか、面白いことしたい」という火は消えていませんでした。
私たちには今まで養ったWEBマーケティングの経験や、資金がありましたので、それを軸に、SHARE BASEプロジェクト(https://sharebase.jp)は始まりました。
プロジェクトをアーカイブで残したら面白いと発信していたら、福島県から取り上げて頂いたりと、徐々に知ってもらえる機会が増え、輪も広がりました。
昭和村の祖父母の空き家はDIYで改装しながら、民泊施設SHARE BASE昭和村(https://sharebase.jp)として2018年にOPENさせることができました。
---移住からわずか2年で体験マッチングサービスをリリース。事業化のスピードも速いですよね!
(橋):
仕事としてやっちゃうと事業スピードが遅くなるんです。
だからSHARE BASE MATCHINGも事業というよりは『村に住むことで直面した課題解決』をテーマにしながらも、『我々が楽しみたい』という事を大切にサービス化にチャレンジしております。
民泊サービスも同様です。
企業としてどうとかではなく、自分たちのライフをどう幸せにするか、がベースです。
会社規模を大きくしたい、という事とは少し違うんですよね。
ワクワクする仕事だからやる、ということが大前提
---地方を元気にしたいと思っている人や実際にトライしている人も多いですが、SATORUではどのように地域との関わりを?
(橋):
地域と深く関わろうとするビジネスとしてやると、どうしても、地域との連携が必要になり、しがらみなどが出てきてしまうのでまずは自分たちでできる範囲でやってみることを重要視していきました。
そしてあくまでも自分たちが素直に良いと思ったことを、サービスとして出していく事を徹底しました。
地域創生をする、と意気込んでもしょうがないじゃないですか。
大事なのはそこじゃないと。
自分たちが楽しいからやる、ワクワクするからやる、ということが大前提だと思うんです。
---なるほど!地方での生活や事業のやりにくさを感じるところはありませんか?
(橋):
ないですね!
地域への入り込み方はいろいろありますが、どのように入り込むかは自分たちの判断です。
地域に根差した生業は、最初に周りとの関係性の構築も必要でしょう。
私たちの場合はもともとWEBマーケティングをメイン事業としてのスタートしましたので、四人いるのでそれぞれの強みを活かし、時間をかけて関係性を作っていきました。
今では周りの方々が味方にもなってくれる事も多くなってきましたよ。
---地域で生きていくための働き口がないと感じる人はどうすればいいのでしょう?
(橋):
例えば民泊サービスは、今後みんなの集まるところが地域に必要になるだろうから作ってみよう、という始まり方でした。
つまり、住む事で得た経験を単純にサービスにしています。
ここに来て生活していると、おじいちゃんおばあちゃんと会話することが多くあります。
お話してみれば、みんな生活で不安に感じてる事もあるのが分かってきました。
じゃあ例えば観光客に来てもらって、おばあちゃんのご飯を作る所から体験してご飯を食べてもらおうじゃないかと。
そこで得られたお金を、謝礼として地域に戻せるなら、おじいちゃんおばあちゃんも嬉しい。
そんな、住む上での経験を単純にサービス化していっているんです。
それがお金になるのかならないのかは別の話。
トライアンドエラーで考えていけばいいんじゃないでしょうか。
お金にならなかったとしても、経験になるわけです。
個々が幸せになって地域に貢献していく。
---素敵な考え方ですね。SATORUの未来はどのようになっていくのでしょう?
(橋):
会社としてどこに向かうかが大事ではなくて、メンバーはもちろん、携わってくれた方々の幸せがうまく形成できれば良いのかなと思っています。
SATORUで言えば、社員個々のお金、時間、仲間(家族)という要素が、バランスよく大きくなる事で個々の幸福度は上がると考えています。
個々の強みを活かして幸せを掴み、今までの経験を糧にさらに成長して行って貰えば良いと思うのです。
SATORUのサービス自体は、私たちが入らなくても自走するサービスにしていきたいと思っております。
会社が儲かるというより、地域やゲストにお金が戻る事業にしていきたいからです。
地域が主体となって稼いでもらえるようにしたいんですよね。
主催者自身が盛り上げていくイメージです。
そして、私たち自身はまた新しく面白いことを作っていきます。
---そのために、若いうちから対策を立てていたと?
(橋):
ですね。やっぱり最低限のお金は必要です。
若いうちに自分だけしかできない生業を作っておくこと自体は大事なことだと思いますよ。
私たちで言えば、WEBマーケティング。
こと、地方創生は発信をやらなきゃいけない。
地域と関わると地域のマーケティング戦略がまだ弱いと感じております。
そもそもデータが少ない。だから、マーケティングを生業にしています。
---初めから地域で面白いことをしたい思いがあるからマーケティング事業をしようと考えていたのですか?
(橋):
そうですね。
いつか地方で面白いことをやりたいと思っていたから、場所を選ばないこの仕事を選びました。
もちろん会社になれば、会社の目標が必要です。
ただ、個々の幸せを大きくすることが会社の目標だと決めたら、方法はなんでもよかった。
失敗しても、「こういう考え方ができるよね」と別の考え方ができる事業を選ぶようにしています。
新しいことやるときはすぐやるけど、必ず目標を確認しながら進めています。
経験と不安は表裏一体。経験が一番大事
---同じようなライフスタイル、事業に挑戦してみたい若者・よそ者へのメッセージをお願いします!
(橋):
自分の中で、大きな目標を持つことではないでしょうか?
あとはとにかく失敗すること。
経験が一番大事です。
みんなが知らないことに興味を持ってみて、やってみることだと思います。
人間は経験したことがないこと・予想できない事に、不安になる。
でもそれは「知らないからこそ自分の成長になる、ワクワクする!」という考え方もできますよね。
だから、自分自身が「ワクワクする」と思うことを前提に経験していけば、不安は減っていくと思います。
不安と経験は表裏一体です。
僕も、社会人だったら経験できないことを、今沢山経験しています。
だからすごく面白いんです。
回り道でも良いから失敗して、経験して。
それをアウトプットしていくといいと思います。
---ありがとうございました!
SATORUという社名に込められた想いを垣間見た
東京から移住して早2年。会津若松という中心地から車で1時間以上離れた場所で奮闘する若者は、予想以上にワクワクしながら地域を盛り上げていました。
私たちも実際に宿泊し、料理体験をしましたが、この面白さを言葉にして伝えることはとても難しい!
もしかして、これこそが地方や田舎で生活することの面白さを「悟る(SATORU)」ことなのではないか!?
社名に込められた想いをなんだか肌で体験できた気がします。
人里離れたところで暮らしてみたい、一歩踏み出してみたい方は、ぜひ一度訪れてみませんか?
株式会社SATORUの詳細情報
WEB https://satoru-co.jp/
所在地
〒968-0102
福島県大沼郡昭和村野尻元町4488
TEL:050-3580-3106
サービス
SHARE BASE 昭和村(https://showa.sharebase.jp/)
SHARE BASE MATCHING(https://match.sharebase.jp/)
他