会津若松市の隣に位置する会津坂下町
この町の商店街の片隅に、レトロ雑貨の販売をしている「山内屋商店」があります。
いきなり昭和にタイムスリップしたかのような懐かしさあふれる外観、ついつい吸い寄せられてしまいますよね。

今回は、 あいづっぺでぃあ取材班 奥田美咲が、「山内屋商店」の5代目店主、山内一成さんに、会津坂下町でレトロ雑貨店を始めた経緯や、レトロ雑貨の魅力、会津坂下町での暮らしについてお話を伺ってきました。

山内屋商店
店主 山内 一成(いっせい)さん
お母様 山内 礼子さん

IT企業勤務から一転、実家の商店を継ぐことに

---山内さんは、ご実家を継ぐためにUターンをしたんですよね?

はい。東日本大震災のタイミングで東京からUターンして実家の商店を継ぎました。
父は早くに亡くなり、高齢の祖父も亡くなって、実家が母と祖母二人だけになってしまったんです。
以前から祖父には実家を継いでほしいと強く説得されていたので、跡継ぎは自分しかいないと思い、決心してUターンしました。

---一大決心だったんですね。東京ではどんな仕事を?

大学では情報工学を学んでいたので、IT企業でソフトウェア開発を10年ほどしていました。
そういった仕事は、東京を離れるとなかなかできない職種なので、実家を継ぐにあたって仕事は商店の運営に方向転換しました。

--- 「山内屋商店」は大正元年創業なんですよね。元々どういったものを売っていたのですか?

昭和の店舗の外観。豊富な品ぞろえだったことがうかがえる。

創業当初は、塩や砂糖の量り売りをしていたようです。
そこから、農業に使う用具を置くようになったら飛ぶように売れて繁盛したらしいです。
それからは、周りの農家さんのニーズに合わせた商品を置くなんでも屋みたいになっていったんです。
今は、生活雑貨や学校で使う文具や衣料などを販売しています。

--- どうしてレトロ雑貨の販売を始めたのですか?

お店を継いだとき、このまま生活雑貨屋をやっているだけでは駄目だと思ったんです。
近くに大型のホームセンターやドラッグストアがあるなかで、小さな商店をやっていくにはそういった大型店と差別化をしなければいけないと感じました。

レトロ雑貨を売るようになったきっかけは、蔵に眠っていた古い在庫商品を処分しようと思ったことです。
昭和時代の古い日用品やゴム草履なんかの在庫が大量にあって、なかなか状態も良かったので、試しにインターネットオークションに出品してみたところ、意外と売れたんです。
今では手に入らないレトロな雑貨を求めている人が、実はたくさんいるんだ!
とそのとき気付きました。

ちょうど、商店兼自宅を建て替えて古い蔵が残ったので、そこを改装してレトロ雑貨店にし、ネットショップも作りました。

「牛乳石鹸」グッズは人気が高いそう。

わざわざ田舎にお客さんが来る!レトロ雑貨の知られざるニーズ

懐かしのキャラクターたち。権利関係で製造中止となったレアモノもある。

--- レトロ雑貨のニーズを発見したんですね!ちなみにレトロ雑貨を求めているのは、どんなお客さんですか?

40~60代の男性が多いですね。全国にレトロ雑貨のコレクターがいて、消しゴムだけ、メモだけを集めているとか、このキャラクターを集めているとか、色々な人がいますね。

鉛筆を削るのに使っていた小さいカッターナイフも意外に人気です。

密かな人気商品は、鉛筆を削るための小さなカッターナイフ。

コレクションを飾っておくために「商品のガラスケースそのもの」が欲しい!という方もいますよ。

--- ガラスケース自体もレトロな雰囲気で他では手に入りにくいですもんね!昔の生活雑貨や日用品はどんな人が買うんですか?

昔の生活雑貨のニーズがあるのは、実は「映画やドラマの制作会社」なんです!
昭和が舞台の映像を作るとき、小道具として大量に注文が来ることが多いですよ。 この前も大きなワゴン車でわざわざお店に来られた方がいました。

レトロなインテリア雑貨としても人気。

あとは、レトロな雰囲気のカフェなどの店舗の内装で使うという業者さんも多いです。

昭和の日用品や雑貨はもう製造されていないですし、小道具さんが再現して作ろうと思っても独特な色やデザインだから難しいみたいですよ。

水筒やカップはポップな色が目を引く。

--- 確かに!昔の雑貨って原色が多く使われていたり、斬新なデザインだったりしますよね!

私自身はレトロ雑貨が特別好きというわけではないのですが、意外なものが売れたりするので、何に使うかわからないような物でもとりあえず仕入れてみるようにしています。

実は、これ、売ってはいるけど何に使うかわからないんです…。

何に使うかわからない道具。

若者・よそ者の視点だからこそ、会津の魅力を見つけられる

--- Uターンしてきて、会津坂下町ってどんな町だと思いましたか?

東京での生活は刺激があって楽しかったですが、実家でのんびり生活するのもいいものです。人混みがなくて楽です。
会津坂下町といえばやっぱり馬刺しが美味しいのでおすすめですね。
馬刺しを販売している精肉店がたくさんあって、それぞれのお店の馬刺しは油の乗りや厚みに違いがあるんですよ。私は薄切りが好きです。

会津坂下町には馬刺しを販売する精肉店が多数。お店によって切り方や味が違うそうだ。

--- 私も馬刺しを買って帰りたいと思います。最後に会津に興味がある若者・よそ者へメッセージをお願いします!

私はもともと会津坂下町生まれで、地元はなにもないところだと思っていました。
でも、レトロ雑貨屋を始めるきっかけになった在庫商品のように、私や近所の人にとっては価値のないものでも、誰かにとってはものすごく価値のあるものだと気付きました。
町も同じで、地元の人間は、会津は田舎で何もないところだと言いますが、そこに価値を生み出すのはよそ者・若者の皆さんなんじゃないかと思います。

--- 確かにそうですね。私達のようなよそ者・若者の視点だからこそ、会津の魅力に気付けるのかもしれませんね。貴重なお話をありがとうございました!

山内屋商店で「ここにしかないモノ」を探してみよう

「レトロ雑貨」という隠れたニーズを掴んで、小さな商店を全国からお客さんがわざわざやってくるお店に変えたビジネスアイデアはさすがです!
人は、都会でも田舎でも「ここにしかないモノ」を求めるのは変わらないんですね。
私も実家に昔あった黒電話や大きな洗濯用洗剤など、つい懐かしくてじっくりと見てしまいました。
誰しもが、「これ、あったあった!懐かしい~!」と会話が盛り上がる素敵なお店です。
ぜひ、足を運んでみてくださいね。

山内屋商店の詳細情報

住所:〒969-6539 福島県河沼郡会津坂下町字古市乙128
電話番号: 0242-83-3170
営業時間 :9:00~18:00
アクセス:JR 只見線会津坂下駅より徒歩15分 / 常磐自動車道 新鶴スマートIC料金所より車で6分

山内屋商店ネットショップ:https://www.yamauchiya.info/abouts/

奥田美咲

奥田美咲

岩手県出身。単独登山とソロキャンプを愛するWebライター。
夢はサウナ付きの山小屋を建てること。