金色のナマズに地域の夢をのせて【塩川なまずの里の会】

withコロナの時代になり1年。

最近では「ワーケーション」「テレワーク」「脱ハンコ化」など、これまで当たり前とされてきた働き方や地域のあり方を見直す機会も急速に広まってきたのではないのでしょうか。

そこで、今回は喜多方市塩川町(しおかわまち)で地域の宝を通じて、地域振興活動に携わっている鈴木孝夫さんにお話を伺いました。

「なまず」を通じて塩川町を知ってもらいたい

―――さっそくですが、喜多方市塩川町についてご存知でない方に向けて、地域の歴史をご紹介いただけますでしょうか。

塩川町を流れる日橋川。

 塩川町は江戸時代初期から会津五街道のひとつ「米沢街道」の宿場町として栄え、最盛期には約300軒ほどの商店や旅籠などが軒を連ねました。また、舟運のまちとして会津の重要な物流の拠点でもあり、新潟から阿賀川を通じて塩が運ばれ、陸揚げされた場所であることから「塩川」という地名となったという言い伝えも残っている歴史ある町です。また、日橋(にっぱし)川の近くには「川番所」というまち歩きの拠点があり、塩川に関する観光パンフレットや物産品を、舟運の歴史をパネルで展示しています。

かつて栄えた街の様子をしのぶ

また、塩川駅の西側にはかつて会津藩の行楽地としても利用された御殿場(ごてんば)が公園として整備され、春の桜や初夏の花しょうぶ等季節の花が楽しめるスポットとなっています。県立テクノアカデミー会津があるのも、ここ塩川です。

―――鈴木さんと塩川のつながりについてお聞かせください。

 私は塩川に生まれ育ち、現在は社会人になった息子が3人いて、孫が4人います。私自身は定年退職をきっかけに本格的に地域振興活動に携わるようになりました。かつてはこの地域には田んぼや小川、また、どっこん水(清水)もあり、亡き祖父はそこで捕った小魚を煮つけや唐揚げにして食べるのがとても好きでした。

 近年は宅地開発が進み、会津若松市や喜多方市へ通勤する子育て世帯が増えてきました。新しい家々となった場所に立って目をつむると今でも見渡す限り広がっていた田んぼの風景が今も鮮明に思い出され、私にとっては懐かしく思い出される良き地域です。

―――街おこしをしようと思った経緯はどのようなものでしょうか?

 私が幼少時代には塩川の商店街はお客さんでにぎわっていて、どの店も活気があったように記憶しています。現在では、ベッドタウンとして人口が増えている半面、商店街はいわゆるシャッター通りとなり辞めて閉まっている店舗が多くなり、寂しくなっているように思われます。

 塩川は五本の川が合流する地域ということもあり、川にまつわるイベントも多いのですが、長年塩川町の舟運を見守ってきた金比羅(こんぴら)神社の存在があまり認知されていないような気がして残念でなりません。また、金比羅神社のご神木でもある大イチョウも神社の存在を知ってくれと訴えかけているような気がしてならないんです。

看板前に立っている祠が舟運の神・金比羅神社

そこで、オリジナル創作民話の金鯰物語で、舟運の金比羅神社の存在と塩川町の歴史を多くの方々に知ってもらって地域貢献できればと始めたのがきっかけです。

―――金鯰物語の反応はいかがでしょうか?

 オリジナルの創作民話の金鯰物語を見て「鯰が湖を作るわけないだろう」とか「歴史を曲げるようなでたらめな物語だ」と懸念される方もいるかもしれませんが、この金鯰物語を通して、ひとりでも多くの方に塩川町に興味を持ってもらうことが今の塩川町にとって必要なことだと考えています。個人的には孫がこの物語にキャラクターである金鯰が「可愛い」と気に入ってくれているのが励みにもなります。

 また、他の方からは「舟運の金比羅神社とご神木の大イチョウを見に行ってみたくなった」と、実際に見に来てくれた方もいました。いろいろなご意見を頂戴しますが、正しい歴史については後から知ってもらえればうれしいです。

「1ぴきのなまず」のユーチューブ動画【限定公開】

塩川町を楽しくワクワクする地域に

―――「塩川なまずの里の会」の活動について教えてください。

まず、当会のブログでオリジナル創作民話である「金鯰物語」やよもやま話、シリーズ企画などを紹介しています。SNS等で発信することにより、一人でも多くの方々に塩川町を知ってもらいたいのと、会の知名度を高め、会員を集い、町おこしに貢献したいと思っています。

また、塩川町はイベントに強いので、そういうイベントを支えている地元の方々にスポットを当て、やりがいを持ってより力を発揮できるような活動も考えています。

県立テクノアカデミー会津×塩川なまず里の会

―――ここに「1ぴきのなまず」という絵本があります。

 はい、こちらは創作民話「金鯰物語」をもとに福島県立テクノアカデミー観光プロデュース学科の協力で制作した本の1冊です。現在では、塩川の公民館、児童クラブ、保育園・幼稚園、図書館でも読むことができます。非売品なのですが、前出した街あるき拠点「川番所」ではぜひこの絵本を買いたいという声も頂き、とてもうれしく思っております。ゆくゆくは塗り絵やポストカード、読み聞かせ企画などへの展開も検討しているところです。

福島県立テクノアカデミー会津の生徒さんたちが作った金鯰の絵本で読み聞かせ

金鯰から始まるさらなる町おこしを

―――これから具体的な展望や活動計画がありましたらお聞かせください。

 舟運の金比羅神社を塩川町の観光PRのモチーフにするのはもちろんのこと、金鯰を町のキャラクターとして立て看板やかわら版の作成も視野にいれています。また、ナマズラーメンの復活と新たなナマズ料理による地域産業の創出、塩川の歴史を紙芝居にして上演したりyoutube等のメディアで発信したりすることで、塩川の歴史を後世に伝えていくことも検討中です。

 将来的には、未来を担うこどもたちや若い世代の方々に共感を得られるランドスケープデザインをし、川をモチーフとしたテーマパークを作り、より良い’楽しい’スポットも作っていきたいと考えております。

商品開発は試行錯誤の連続

―――最後にみなさんにお伝えしたいことがあれば、ご紹介ください。

 はい、本当にもうすぐなのですが、オリジナル創作民話物語をモチーフにしたオリジナルスイーツ “「のれんちょ」~集めました、塩川の宝~”を3月6日から90セット限定、1,620円(税込)で販売することになりました。商品名は、塩川町が「屋号とのれんの街」と呼ばれていることに由来しています。

この商品開発には前出した県立テクノアカデミー会津の協力の元、食材を集めから商品デザイン、試食品の試行錯誤を繰り返してやっと製品化までこぎつけた自慢の商品でもあります。試作品を作ってくれるパティシエさんはもちろんのことパッケージで商品に花を添えてくれるデザイナーさんにも広くご協力頂き、感謝しております。

地元の素材を生かしたチョコレートスウィーツを開発

そのため、作れる量に限りがあり、残念ながら塩川町内3店舗のみでの限定販売にはなってしまうのですが、ぜひこの機会に多くの方にご賞味頂ければうれしいと思っております。

―――ありがとうございました。

金鯰物語<塩川なまずの里の会>ブログ:https://shiokawa-namazu.net/

福島県立テクノアカデミー会津 観光プロデュース学科http://www.tc-aizu.ac.jp/academy/subject/kanko.html

オリジナルスイーツ “「のれんちょ」~集めました、塩川の宝~” 販売店はこちら

松本屋商店 https://matsumotoyasyouten.com/

淀屋(武藤合名会社)https://www.yodoya0241272022.com/index.html

九重本舗 奈良屋 https://www.aizukanko.com/souvenir/811

板垣 愛

板垣 愛

埼玉県川越市出身。山形県鶴岡市にあるお寺に住んだ後、郡山市へ転居。本業は会社員。特技はカブトムシの幼虫を見てオスメスを当てられること。最近は会津の潜伏キリシタンに興味あり。