取材記事

【竹藤トークセッション】だれだっていい、みんなで会津をつなげよう

活かして残す 竹藤の歴史

会津若松中心街にポツンと一軒だけ、目を引く建物があります。まるでそこだけ時が止まっているように。なんだかワクワクしちゃいますよね。
まるで、タイムスリップしたような感覚。今にでも武士がでて来るんじゃないかと思ってしまうほど。

竹細工などを販売

その建物こそが「竹藤民芸店」です。江戸時代から続くといわれ、会津最古の商家建築として国登録有形文化財会津若松市歴史的景観指定建築物に登録されています。
しかし、そんな竹藤にピンチが到来。後継者不足、保存維持の費用、誰が、何のためにどう残すのか。

しかし、このような問題はここだけではありません。
いま、全国の日本の文化財や建物、伝統、文化がこのような課題に直面しています。
これから日本がぶつかる大きな壁です。
そんな中、竹藤民芸店さんがピンチに立ち向かうべく新たなチャレンジをしました。

築178年の母屋でおこなわれました!


今回は竹藤当主の次女、笠間さんと西会津で地域振興をされている矢部さんによる竹藤の将来を考えるトークセッションが行われました。
完全なよそ者であるわたしも、参加してきましたのでその一部を紹介します!

ピンチをチャンスに

左から(司会の川延さん・笠間さん・矢部さん)

(笠間さん)
―二人の娘がそれぞれ嫁ぎ、後継ぎがいなくなった竹藤。
この歴史ある竹藤をなくしてはならないと、次女であるわたしが再生プロジェクトを立ち上げました。
ですが、残すための資金が全く足らないというまたもや大きなピンチ。
そのなかで2019年に竹藤を後世に残すため修復のクラウドファンディングを実施しました。
すると目標金額を上回る300万ちかくの資金が集まったのです。
この資金をもとに、2020年春に資料館のような古民家カフェをオープンし、「なつかしい田舎のおばあちゃんの家のような空間」を目指します。

母屋を探索していると発見!このお釜で炊いたご飯が食べたい…!


――まさにピンチをチャンスに変えたということですね。江戸時代からある竹藤さんのような建物はいまさらに、新たな価値を生み出していると感じます。古いものに磨きをかけ、今の時代にあったものとして残す。
令和となった時代に江戸時代の建物が残されている、それは当たり前ではなく奇跡のように思います。この時代まで残してくれた方々に感謝です!

ストーリーを伝える

(笠間さん)
―何のために残すのか。
それは…
次世代に残したいから。ここだけでなく会津の歴史も伝えられるようにしたい。
気軽に触れ合える場所になるように、食を通してストーリーを伝えていけるようにしていきたいと思います。



(矢部さん)
―私は西会津町の実家である築120年以上の蔵と納屋をリノベーションした古民家ホテルをつくりました。
建物を残すということは、地域を残す、自分たちの生活を残すということになります。若者が魅力を持つように、目に見えるものから残していきたい、この地域が選ばれるように繋がっていきたいと考えています。
しかし残すだけではなく、ストーリーを伝えられるように、使ってもらうようにしなければなりません。
そのために、竹藤さんや私は本来の建物の状態を残しつつ、新しいものを加えていこうと取り組んでいます。

江戸時代の雰囲気漂う室内



――まさにここでしかできないことだと思います。
会津にしかない建物、風景、歴史はとくによそ者・若者にとって特別な空間であり、大きな魅力となります。
ストーリーや会津の魅力を楽しみながら体験できることは何より大切なことだと感じました。

誰だっていい、みんなでつなげよう

(笠間さん)
―この地域を残すため、ストーリーを伝えていくために開始したプロジェクト。
しかし、これがやはり大変なのです。
じつはわたしは、毎日往復1時間半かけてここに通っています。
まだ子育てもありますし正直大変です。
そのために、貸し厨房としてワンデーカフェやイベント会場としても利用していただきたいと思います。
使われ続けるように手を貸していただける人を募集しています!


(矢部さん)
―人が減っていく中で、一人では限界がありますよね。
だからこそ、協力し合っていくしかないと思います。やりたい人が持ち寄ってアイデアを出しながら。
有形文化財に登録されても、守られるわけじゃない。やれる人、やりたい人みんなでやっていくことが大切なんだと思います。


――有形文化財だから守られるだろうと考えていました…。
これからはみんなでアイデアをだしながらストーリーを伝えていく。
そして、私たちのような若者・よそ者がこのような日本の課題に少しでも興味を持つこと、身近に感じることが大切だと思いました。
誰だっていい。会津、日本の良さをみんなでつなげよう。

若者・よそ者だからこそ

私は、若者・よそ者として、今回のトークセッションに参加しましたが、会津をはじめとした歴史、建築物、文化が途絶えてしまう恐れがあるという危機感と、多くの可能性を感じました。
竹藤さんだけでなく、会津、地方、日本の危機を救うのは若者・よそ者かもしれません。
若者・よそ者はそこに住んでいないため地域の人にとって、日常に感じることが非日常のように感じます。
だからこそ、アイデアが生まれそこに眠っている魅力を掘り起こし磨きをかけることができるのだと思います。
今回のトークセッションでは首都圏からきている方も何人かいらっしゃいました。

満室!注目度が高い。わたしも東京から参戦!


知らない土地にそれだけ関心があるのです。
その地域を伝えていくのは誰でもいい。まだまだ多くの魅力が眠っています。
無限の可能性を秘めると思うとワクワクがとまりません!
さあ、会津で一緒にワクワクをつくりませんか?

ABOUT ME
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菊森千夏
中央大学4年。宮城県出身。 将来は田舎で、のほほんとのんびり暮らしたいと思っています。 ダイビングが趣味で国内外の海を潜っています。福島は自然や食べ物だけでなく、人のあたたかさがなによりも魅力だと感じていて、また行きたくなるようなそんな場所です。