取材記事

【田圃クエスト】でんせつの たんぼが はじまった! 猪苗代の秘境で未知なる挑戦!

田圃クエストの皆様
田圃クエスト 新たなる冒険のはじまり


ここは福島県猪苗代町。はくちょう丸が停泊する、観光客も多く人気のビーチ”長浜”からほど近く。かつては昭和天皇が新婚旅行にいらし、有栖川宮威仁親王殿下が御別邸として使われたという天鏡閣がそびえる高貴な場所に、ぽつんと存在するいびつな形の田んぼがあります。周辺を見渡すと、今は耕作放棄地となってしまったらしい棚田の跡が。
御用邸からほど近く、磐梯朝日国立公園の中にある事から開発が進まずに残った珍しい田んぼ。
今回はその場所で田圃クエストなるものを始めて2年目という、蓮岡さんと鈴木さんにお話を伺いました。


蓮岡さん: 20年ぐらい前にはこの田んぼのすぐそばの猪苗代湖畔の森で自然観察会が行われていたんです。このエリアは磐梯朝日国立公園に指定されていて、田んぼの周りには蛍やムササビが暮らしています。

僕が自然保護について学んだ最初の場所もここで、その頃は一面青々と田んぼが広がっていました。

でも今ではほとんどが耕作放棄地となってしまい、周辺の自然も変化してきています。

U字溝でない昔ながらの水路が現存しているこの田んぼの周りには、ここにしかやってこない珍しい生き物もいるんです。

僕やガイド仲間は、数年前からここの田んぼをなんとかしたいと思っていました。

そんな中、その場所で最後に細々と田んぼを続けていた方から、来年は田んぼを続けられないと聞きました。
やるなら今しかないと思って、“田んぼやらない?”って。

鈴木さん:軽い感じで電話が来たんです。いやびっくりですよ!私も田んぼだらけの猪苗代にずっと住んでいるけど、やったこともないし。

蓮岡さん:僕もやったことなーい。

鈴木さん:今は一つの農家さんが何軒分もの田んぼを請け負って機械を使って管理するのが実情なんで、僕もまず初めに機械をどうするのか聞いたんです。そしたらそれも無いって。

蓮岡さん:実は(鈴木)陽介くんに声をかける以前に、何人か有志が集まっていたんです。

でもみんな経験は無いことだし、作業にあたれる時間が少なかったし、問題も発生して。ガッツがあって共感してくれる仲間が必要だったんです!

他にも本当に色々な方に助けていただいて、なんとか田んぼを続けることができました。

ーーー鈴木さんに白羽の矢が立ったんですね!

鈴木さん:白羽の矢というか・・・

蓮岡さん:バズーカ砲だよな。気絶してる間にほわぁーって。

鈴木さん: 気づいたら…田んぼやらされてる!?みたいな。 

失敗なんてあたりまえ!みんなの楽しい“田んぼ” 

田圃クエスト 手植えで田植えを行う様子

蓮岡さん:先程問題が発生したと言いましたよね。実は機械が借りられなくなって、急遽手植えをすることになったんです。

だけどそれが、楽しかった。陽介君の出番だよね!

鈴木さん:蓮岡さん方式でいろんな人を誘ってみたら、みんなハマっちゃって!

土に触れて自然に溶け込んで、笑って癒されて。
みんなで田んぼを一生懸命楽しみました。

蓮岡さん:楽しいんよ!田んぼの中にいる人に向かって苗を投げるのが!

鈴木さん:あぁー。田んぼの中から苗頂戴って叫んで、投げてもらった苗を手分けして植えていくんですけど、蓮岡さんは無言で急に投げてくるんです。爆弾ですよ!

蓮岡さん:僕の山登りの師匠でもある会津若松市の八十歳のおばあちゃんも、人生初の田植えだと感動していました。
みんな未知の世界ですから、作業は全部後手後手です。田植えの後に除草剤を撒く時も、水路をふさいでなかったり。

鈴木さん:除草剤、全部流れていっちゃってるぞーっ!て騒ぎましたね。

蓮岡さん:子供も一緒にやってるんですけど、世代に関係なくみんな一緒に、失敗しても楽しんでる。

鈴木さん:ちなみに、子供たちがいつでも泥んこになって遊べるスペースは田植え後も使えるように残しておきました!

オニヤンマが脱皮する瞬間を見たり、田んぼに行けば子供たちには毎日がイベントなんです。キラキラした子供たちの笑顔を見た時に俺はもう、これだっ!て思いましたね。
子供達が自然の事を学べる企画を考えて、ライトトラップなんかもやりました。

蓮岡さん:夜中に白い布に光をあてて集まる生き物を観察する、珍しい生き物と会えるナイトツアーです。

鈴木さん:娘の同級生達を誘ったら、駐車場に着いた瞬間、カブトムシ捕る!って鼻息荒くしてました。

蓮岡さん:そういうのは僕らガイドメンバー、プロなので。任せてください!
リフレッシュしたい。みんなと一緒に楽しみたい。この環境を守っていきたい。子供たちに伝えたい。メンバーがそれぞれのヴィジョンをもっています。

そして ものがたりは つづく 
これからの田圃クエスト

田圃クエスト伝説の勇者、蓮岡に続け!!

現在田圃クエストのメンバーには、レンジャー、ソルジャー、踊り子、料理人といった役職が付いているのだそう。ちなみに田んぼの持ち主は、マスターと呼ばれているのだとか。

鈴木さん:料理人とマスターが小昼だぞ、昼食だぞっていろいろ持ってきてくれて。それを私が田んぼを始めるにあたって買ってしまった軽トラに乗ってみんなで食べたりしてます。
ともかく、一番最初のとっかかりを作ってくれたのは勇者蓮岡です。

蓮岡さん:勇者は何もできなくていいの!
レベルが上がるといろんな知識が増えて、最終的には賢者になれる。
陽介君はみんなが踏み出せない領域に突っ込んでいくファイター。陽介君をけしかけてみてダメそうだったら周りのみんなが“あ、だめだったね”って止まることができるんです。みんな自分の得意分野があるからね!

蓮岡さん:田んぼの水の管理とか、細かいところはマスターがやってくださっています。

マスター含め地域の人は田んぼを続けたいと思っていても、後継者問題、獣害、いろんな事情を抱えています。
もう木が生えてしまったところも、今後田圃クエストですこしづつ元に戻していって、僕らも楽しんでいける場所になれればいいよね。

そんなことも見越して、2年目には機械の使い方も覚えました!

どんどん関係人口を増やしていきたいので今年の田んぼクエストには興味を持ってくれるいろんな人関わってほしいです。いろんな人に知ってもらうために、チラシやグッズ、YouTubeチャンネルも作りました。
YouTubeすごくいい仕上がりなので、是非見てください。第一作目の動画は縁あって映画監督を目指すプロのカメラマンさんが作ってくださったんです。

鈴木さん:二作目は雪山です。撮影のためにGoProも買っちゃいました!

冬は田んぼはやらないんですけど、メンバーでスノーシューを履いて名倉山に登って、山頂でコーヒーと紅茶を飲みました。実はその時もいろんな失敗をしていました。

―――田圃クエストって、面白い人たちの集まりなんですね。

鈴木さん:自然を知って、守って、それを受け継いでいく。それに向かって頑張る団体……っていうと重いから、仲間たちですかね。

蓮岡さん:勇者は楽ですよ。一人で抱え込まなくても周りが勝手に、ちゃんと動いてくれるんです。
先輩の団体、エコツーリズムや磐梯山ジオパークが築いてきてくれたことにも助けられています。
磐梯山があって、まわりの植物や動物があって、人がいて、全てが繋がっている。そういった関わりを知っていて、守りたいという人が大勢いるから。

そんな風にいろんな入り口から興味を持った人たちが、いろんな要素を取り入れながらつながっていけるといいな。


田圃クエスト 自然と笑顔を守る手作りのお米たち

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磐梯山の宝を守る田圃クエスト 活動メンバー募集チラシ
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素人集団が田んぼをやったらこうなった! 田圃クエストのみなさま
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吉村 愛
裏磐梯のハーブ園Bandiaで企画、広報、デザイン等を担当。 好きなものは楽しいこと、美味しいもの、きれいな景色。 趣味は作ること、聴くこと、読むこと、眺めること。