町民の幸せを実現するために【磐梯町町長 佐藤淳一さん】

福島県のシンボルである磐梯山をはじめに、豊かな自然の恵みが溢れる磐梯町。

冬には多くの雪が降り積もり、スキー場やペンションは観光客で賑わいます。
 一方、総務省の指定する過疎市町村でもあり、人口減少や少子高齢化といった課題を抱えています。

 そんな磐梯町を「自分たちの子や孫が暮らし続けたくなる魅力あるまち」にしていこうと、
町長として行政改革を推し進める、佐藤町長にお話を伺ってきました。

民間企業での勤務時代

 ―――本日はどうぞよろしくお願いします。

佐藤町長:こちらこそよろしくお願いします。何から話していきましょうか?

ーーーぜひ町長になるまでのストーリーから知りたいです。

佐藤町長:郡山の日本大学工学部を卒業して、しばらくは東京の企業で働いていました。

その後、スキーリゾートができるということで磐梯町に戻り、スキーリゾート会社に務めたのです。

「私をスキーに連れてって」は聞いたことあるかな?

当時はスキーブームにバブルも合わさって、磐梯町に多くの観光客が押し寄せてきました。

 でもバブルが崩壊して会社の借金が膨らみ、運営会社を星野リゾートに任せることになり、私は東京で働くことになりました。

東京で、星野リゾートの営業所長をしていたのです。

ーーー大学を卒業してから、民間でお仕事をされていたのですね。

佐藤町長:そうです。

2009年ごろには磐梯リゾート開発株式会社の取締役総支配人として磐梯町に戻ってきたのですが、 ほどなくして東日本大震災が起きました。

会社の宿泊施設には300人弱の避難者を受け入れ、地元とのやり取りも多くしていました。

そのやり取りの中で、地元や福島への貢献は絶対にやっていかないとダメだと考えるようになったのです。

 だからこそ、2014年に町議会議員に立候補し当選させていたきました。

ーーー震災がきっかけになっていたのですね。

佐藤町長:そうですね。大きなきっかけでした。

また、磐梯町の観光を再生させようと磐梯町観光協会長も担っていました。

当時バッドネームであった福島に、どうやって観光客を呼んでいくか。

オーストラリアからのインバウンドに注目した結果、全く認知度ゼロの状態から、3~4年

で5,000人の観光客を集めることに成功しました。

ーーー民間での経験を活かして、磐梯町の観光を盛り上げてこられたのですね。

町長への出馬理由

ーーーその後、2019年に磐梯町町長に出馬されました。出馬を決めたきっかけを教えてください。

佐藤町長:4年間議員として行政の仕事をする過程で、民間企業での経験を活かし、

磐梯町でもっと住民起点、町民本位のまちづくりができないか。

もっと町民のために貢献したいという気持ちが大きくなり

磐梯町町長選に立候補し、無投票で当選させていただきました。

磐梯町には感染症の対応を含めて色々な課題があり、大変な時期を預かっているという責任感がありますし、だからこそ面白いとも思っています。

自治体DXの先行事例ー磐梯町モデルー

ーーー磐梯町といえば、いち早くデジタルを活用した自治体DXの先行事例という印象が強いです。どうしてデジタルの活用に注目されたのですか?

佐藤町長:町長になってから「自分たちの子や孫が暮らし続けたくなるまちづくり」というビジョンを立てました。

そして町民を幸せにするには、町民と共にまちづくりを考えていく必要があると考え、町民の声を集めることを大事にしようと思いました。

3,400人前後のまちだから一人一人に聞いて回ることも可能だけれども、

それでは一律給付金の時のように遅れが発生しますよね。

だからこそデジタルを活用する必要があり、町民の課題にジャストタイミングで対応できるようにする。

住民起点のまちづくりができる仕組みを整えようと思ったのです。

ーーー住民起点のまちづくりを行おうとした結果、デジタルに注目されたのですね。実際にどんな効果を感じられていますか?

デジタル変革を進めることで、多くの事業者が協力関係になってくれましたね。

いざ町長になって、町民のために色んな事をやっていきましょうと言っても、磐梯町はお金がないから自力では難しい。

ただ、他の自治体よりもデジタル変革が進んでいて変化を受容できる仕組みがあることから、多くの事業者が関心を持ってくれるようになりました。

今では多くの事業者と連携協定を結び、鳥獣被害対策などの分野を安く行えています。

ビジョンの達成に向けて

ーーー町長として、どんなことを実現させていきたいですか?

佐藤町長:実現したいこと、町長としてやらなければいけないことは山ほどありますね。

まずは情報の透明化かな。

これまでの行政の情報って、民間と違ってものすごく分かりづらかった。

そういったところをグラフや図も用いて分かりやすく開示していくことで、行政の行うサービスも一方的なもので無くなっていくと思います。

また、まちとして稼げる手段を作っていきたいですね。

元々行政ってお金がないから、何か新しいサービスを始めようと思っても難しい。

今はふるさと納税が大きな税収になっているけれど、今後も固定的にお金を稼げる仕組みが必要です。

そのためにも磐梯町で新たな産業が育つよう、行政としてサポートしていきます。

ーーー町長や磐梯町の町民の方々からは、変えていこう、どうにかしていこうという熱意を強く感じます。

佐藤町長:やはり町民一体で、このまちを良くしていかないといけないからね。

町長は4年間の任期制だけれども、

よく言われているのが一期目は慣れ。

二期目に自分のやりたいことをやり始める。

三期目に集大成。

結果を出すのは三期目で良いって言われている。

それではあまりに遅すぎます。

物事は早く進んでいるのだから、私は4年間で何を残せるかが重要だと思っている。

だからこそスピード感は重視していますね。

ーーー変化の激しい時代だからこそ、行政にはスピード感を持った対応が必要ですね。そしてそれを可能にするのがデジタル、ということですね?

佐藤町長:もちろんデジタルによる効率化は期待していますが、本当に大事なのは効率化ではなく、トランスフォーメーションの部分です。

デジタル化によって空いた時間や人員を使って、がっつりと町民へのサービスを増やしていきたいですね。

そして町民一体で、この町をどうしていくかを考えていく。

その先にビジョンである「自分たちの子や孫が暮らし続けたくなる魅力あるまちづくり」が達成できると思っています。

ーーー佐藤町長、ありがとうございました。

予定していた時間を大幅に超えてしまいましたね。

インタビューを通して、町長としての覚悟や熱い思いが伝わり磐梯町が大好きになりました。

素敵なビジョンが達成されることを、心から願っています。

ibuki.nagasawa

東北を好きになった東京出身大学生。
ビールと日本酒を愛します。