創業明治10年の味噌屋【淀屋】の「味噌を愛する男」が語る味噌に込めた熱い想い。

喜多方市塩川町。ここに創業明治10年、代々の技術を継承しながらこだわりの製法を守り続け、会津の恵まれた自然の中、味噌醤油を製造している【淀屋】というお店がある。

今回は、淀屋の後継者「味噌を愛する男」武藤隆弘さんにお話を伺いました。

味噌の魅力や塩川町に馳せる熱い想いをお聞きしました。

ーーーよろしくお願いします!!

武藤さん:よろしくお願いします。

ーーー明治10年ってものすごく長いですよね!何年ぐらい続いているのでしょうか。

武藤さん:味噌屋としては明治10年からなので、140年ぐらいですね。明治10年に味噌屋に切り変わったということなので。その前までは、旅籠屋っていう旅館業をやっていたと聞いています。

私はまだ社長ではないので、父である現社長が、味噌屋としては5代目、旅館業のころから数えると16代目ですね。

ーーーそうだったんですね!旅館業から味噌屋ってすごい方向転換ですね。

全ては戻ってくるために

ーーー地元の高校を卒業されて、大学は東京へ進学されたのですか?

武藤さん:東京農業大学で醸造科学科で醸造の勉強をして、卒業後は、山梨の方に。

社長も、「すぐに戻ってこなくてもいい、どこか他のところで勉強してこい」というふうに言ったので、同じ醸造業ということで、山梨のワインビネガー、ブドウのお酢を作る製造工場のアサヤ食品株式会社というころに就職しました。

そして、4年間山梨にいて、26歳の時に戻ってきました。

ーーーここに戻ってくるのは当たり前っていう感覚で、大学を選ばれたのですか?

武藤さん:そうですね。ちっちゃい時から、もう、やりたいって言ってたのかな。他にすごい熱をもってやりたいって思えるものがなかったっていうのもあって、やりたいって思う、味噌醤油を作るという方向で、東京農大で醸造の勉強して戻ってくる、っていう、まあそのままですね。

ーーー小さい時から味噌醤油作りを見てきたからこそ、やりたい気持ちはずっとあったのかもしれませんね。

武藤さんは、ご兄弟はいらっしゃるんですか?

武藤さん:6歳上に兄、3歳上に姉がいます。

ーーーあ、武藤さんは末っ子だったんですね!お兄様が継ぐということはなかったんですか?

武藤さん:兄が就職する時には、自分は高校生だったんですけど、高校の時も、農大に行って醸造の勉強をしたいっていうふうに自分が言っていたので。

「弟の夢を壊してまで継ぎたくない。むしろ、やりたいと思っている人がやった方がいい。だからお前に任せる!」というような感じですね。

ーーーそうですよね。武藤さんの淀屋にかける熱い想いが話を聞いていて感じます。

味噌にかける熱い想い

ーーー普段はどういったことしてるんですか?

武藤さん:本当にちっちゃい会社なので、基本的には製造のほうに携わっていることが多くて、あとは納品、配達の方に出かけたりとかっていう形で。

なかなかこう、営業の方が出来てなくて、そっちの方にも力を入れていきたいとは思ってます。

ーーー今はお父様が社長をされていると思うんですけど、次の代を継いでどのようにしていきたいと考えていらっしゃいますか?

武藤さん:味噌に対するイメージを変えたいなと思っています。みなさん、「飲むと血圧上がるでしょ」とか、「しょっぱい」とかっていうイメージを持ってらっしゃるんですけど、味噌汁って、血圧が下がるんです。味噌に含まれるペプチドという成分が血圧を下げる作用があるので。

女性なんかは、全く飲まない人と、一日3杯飲んだ人を比較すると、味噌汁を飲んだほうが、乳がんになるリスクが、4割ぐらい下がるとも言われています。

子供も、野菜嫌いな子は味噌汁のマスキング効果で、野菜のエグみとかああいうのも、緩和されるので、野菜嫌いな子でも手軽に野菜も採れるので。

自分に合う味噌を探して欲しいなっていう。自分の願望としては、手前味噌を持っていただきたいです。

ーーー手前味噌。すみません若者の僕が無知なもので…

武藤さん:そだよね。わからないよね!(笑)「手前味噌ですが」という言葉の、手前味噌っていうのは、「自分のとこで作った味噌は美味しいんですよ」という意味合いなんですが、最終的には、お客様自身の味噌を自分のところで作ってもらいたいです。

お客様ごとに、この人はしょっぱめの味噌がいいとか、この人は甘口がいいっていうのも、一緒に作っていきたい。

うちの既製品はこれですよっていう売り方じゃなくて、お客様ごとに、お客様と一緒に、その方に合う味噌を作っていきたいなと思っています。

毎年毎年、好みも変わると思うので、「ちょっと、しょっぱかったから、今年は甘くしよう」って、毎年違う味の味噌でいいので、一年で食べ切れる量を、毎年、そのお客様と一緒に作って行きたいっていうふうに。

できれば、お客様同士の、「手前味噌会」みたいな感じで、「自分のどうですか。食べると美味しいんですよ。」っていうふうにできると、お客様同士の交流にもなりますし、意見も拾えるので、そういうのやっていけると、面白いなと。

大手さんみたいに、安いやつを大量にっていうのは、どうしでも出来ないので、じゃあどういう価値を付けるかっていうと、そういうところなのかなって、私は思っているので。

ーーー手前味噌会良いですね!!是非開催する際は、参加したいです!

淀屋といえば『とよきち』でしょ!!

ーーー淀屋のイチ押し味噌を教えてください!!

武藤さん:やっぱり、『とよきち』ですね。会津の味噌は、豆と麹の比率が、1対1っていうのが多いんですね。これがだいたい十割麹って言われるものなんですけど。

多いところでも二十割。大豆が1に対して、米麹が2倍っていうのがあるんですけど。

そのなかで「とよきち」は、三十五割麹。大豆1に対して、米麹が3.5倍です。プラス、当社比で30%減塩になってるので、塩分が少ないのと、米麹がたっぷりっていうダブルの効果で、ちょっと甘めなんですけども。

地元の銀行の株主優待の商品に登録していて、それは結構、出ますね。

ーーーこういう味噌があることも、東京では知られていないと思います。やっぱりスーパーでしか見かけないような、大手が作ってるようなものしかないと思うので、どういう風にシェアしていけばいいのでしょうか。

武藤さん:味噌とか醤油っていうのは嗜好品の分野なんですよね。特に、お酒とかよりも厳しくて、食べ慣れたものが一番美味しいって思ってらっしゃるので。

お酒だったら、一回飲んでみて、美味しかったからもう一回買ってみようかなってなるんですけど、味噌とか醤油を試食してみて、「ああ美味しいお味噌だね」って普段使いのに切り替えるかっていうと、なかなかその決心っていうのは、持って頂けない業界だと思ってるんですね、私としては。

だからよほど、衝撃的な美味しさを感じるとか、製造者の熱い思いを、伝えるっていうことが大事だと思います。

自分が味噌を作って100人、1,000人に食べてもらって、一人でも返ってくればいいっていうぐらいで思って、今はやってるので。地道ですが頑張っていきます。

『とよきち』は原料も、会津産の大豆と、会津産のコシヒカリだけで作ってるんですよ!

ーーー生産者の想いを伝えて味噌を長く使ってくれるようにしていかないとですね。『とよきち』には会津のものが味噌に詰まってるんですね!!

塩川町を盛り上げるために

ーーー小学校で味噌作りのワークショップをされたそうですが、そういう感じの活動もされてるんですか?

武藤さん:仕事外のところで、きたかた商工会青年部に所属しているんですけれども、そこが「おしごと広場」っていうイベントをやっているんです。

地元の子供達に、地元にどんな企業があるのか、職業体験をしてもらって、喜多方に郷土愛を持ってもらって、実際に、その子達が就職する時になった時に、戻ってきてもらおうっていうものです。

今年度で3回目だったんですけども、私も味噌作り体験っていうので参加していて、それで、息子の同級生のお父さんに、「小学校でもできるの?」って言われて、「出来ますよ、人数を教えて貰えれば用意します」って、今年の5年生の学年行事で「味噌作り教室」って形で、学校でやらせていただきました。

ーーーお店以外の活動をされていて、塩川町に対してどういうふうな考えをお持ちなのか教えていただけますか?

武藤さん:そうですね、昔からの町中は、人はすごい減ってるんですけど、線路を超えた、御殿場地区っていうところは、新築の家が建っていて、人が増えてるんですね。

そういう方たちが、どこに買い物に来るかって言うと、塩川の町中じゃなくて、郊外のスーパーに行ってしまうので、そういう人たちをこっちに呼び込むにはどうしたらいいのかな、っていうのを今考えています。

来てくれないなら、こっちから行く、っていうスタンスもあるし、せっかく同じ町にいるのに、ここに来てもらえないっていうのは、ちょっと寂しさを感じます。

自分ぐらいの世代が、引っ張っていかないと、「上がやんないから別にいいんじゃないの」じゃなくて、自分たちが、率先して、こうやろう、みたいなことを言わないとなっていうことは考えています。

武藤さん:やっぱり生まれ育った町なので、発展させたいとまで言うと、大きな話にはなってしまうんですけども。

現状、町中でお店を続けているところが減ってきてるんですよ。人口減少だったり後継者不足で減ってきてるので、この現状は打破したいなっていう思いがあります。

育ったところだからこそ、活気のある町に戻したいなって思っていますね。

どうしても人口減少っていうのは、出てくると思うので、そうさせないためにどうするかっていうのを考えながら。

仕事もそうですし、仕事以外のところでも、いろいろ動いてはいるので、もり立てて行きたいとは思ってますね。

ーーーやはり周りの商店さんとかも何軒かお店閉めてしまったみたいですし、この町に人をどう呼び込むかが今後の課題でもありそうですね。

若者に期待すること

ーーー最後に、僕みたいな若者・よそ者に今後、こういうことをして欲しいなとか、こういうことしてくれたら、地元の人喜ぶなとかいうことがあれば、教えていただけますか。

武藤さん:そうですね。気軽に遊びに来て欲しいなっていうふうに思います。

ネット社会なので、来たことを、SNSに上げてもらって、駄目なところは駄目って言ってもらってもいいと思いますし、こういうサービスしてもらってすごい良かった、とかっていうのを発信していただきたいです。

もちろん、こちらでも発信しますし、若い世代の人にも発信してもらって、見ている人が、ああいいなって思ってもらえるような環境が整うと、ちょっと行ってみようかなっていう気持ちになるかなと思っています。

会津は新幹線の駅からもだいぶ離れているので、来づらいっていうところもあるんですけど、遠さの中に、行ったら、これだけ魅力的なものがあるんだよっていうのを、こっちからも発信して。

で、来た人にも発信してもらってっていうのができると、ちょっとでもその、遠さっていうのは緩和されるのかなっていうのが。

遠いなりに、景色がすごくいいだとか、道中、食べるものがものすごく美味しいとか、そういう付加価値を、どれだけ付けるかっていうことで、お客さんを呼び込んでいきたいですね。

来たお客さんには「これだけ美味しいものがありました」って発信して頂くっていう。

魅力的なものを発信して、どんだけ若い人たちが来れるかっていうとこだと思うので、自分たちが頑張っていかないとなとは思います。

ーーーそうですよね。もっと発信していけるようにあいづっぺでぃあも頑張っていきますね!

淀屋さんでは、店頭での販売はもちろん、通信販売を行っています。

グラム売り、ギフト等のセット販売、オーダーで味噌を造ることも可能です。

詳しくは【淀屋】のHP等をご覧ください!

今回は、ありがとうございました。

住所:〒969-3514 喜多方市塩川町字新町1858

TEL:0241-27-2022 FAX:0241-27-8276

Email: xw443538@sc5.so-net.ne.jp

営業時間:AM8:00~18:00 定休日:第二日曜日

HP:https://www.yodoya0241272022.com

大川翔

1998年10月25日生。福島県郡山市出身。
中央大学経済学部に通う大学4年生。
あいづっぺでぃあでは、学生統括・ライターとして活動しています。普段は、NPO法人きたまるの運営や株式会社ビックメイツの広報戦略室長として活動しています。