取材記事

一度来れば何度も来たくなる憩いの場、人とモノが集まるシェアアトリエ兼飲食店【会津よろずや 菊池学さん】

会津の観光商店街「七日町」、その商店街の「七日町通り」を歩いていると美味しそうな匂いが漂ってくる、その匂いのする場所にたどり着くと、そこには美味しそうなご飯と面白い雑貨が並んでいた。カフェと雑貨屋が併設されているそのお店の名前は「会津よろずや」。今回はその会津よろずやの店主「菊池学」さんにお話を聞かせていただいた。

広告業界からグッズ製作で独立。会津よろずやに

会津弁の方言グッズ

---このお店を始めたきっかけを教えていただけますか?

はい、もともと広告代理店で働いていました。その中で漫画家の知り合いが描いた会津弁のグッズを道の駅やホテルに置いて広告費をもらおうと営業をしていたんです。そんなある日、普段営業に行っている道の駅の人から「ゆるキャラのぬいぐるみや、フィギアを作れませんか?」という相談をされまして徐々にそっちの仕事の方が増えてきたんです。それで独立してグッズを作ってあちこちに置いてもらって、自分でもグッズを置けるお店を始めようとしたのがきっかけでした。

---なるほどですね、広告の営業が、いつの間にか違う方向に進んで今のお店ができたんですね。

そうです、最初はこんな広いお店を持つ気は無かったんですが、雑貨を置きたかっただけだったので。初めは知り合いの10人くらいのハンドメイド作品を作っている人たちに提案をして、グッズを置いてもらいました。今ではここでしか買えない特別なグッズもあるんですよ。あの全国でも有名な「酪王カフェオレ」のグッズがそうで、たまに酪王さんがやるイベント以外ではここでしか置いているところはありません。また喫茶店も併設したり、空いているスペースを生かして、英会話教室やパソコン教室、ハンドメイド作品を作っている方たちが開催している体験会や、占いイベントをやってもらったりしています。

ソースカツ丼が大人気な喫茶店が併設されている

---喫茶店と雑貨屋さんを併設して作った理由はどうしてだったんですか?

喫茶スペースがあればいいなーという感覚で作りました。建物のスペースにも余裕があったので。そしたら徐々に喫茶店の方の人気が出てきて、今では宴会をやったりするのに雑貨屋さんのスペースを利用したり、いつの間にか飲食がメインになっちゃいました笑

---喫茶店での人気メニューはなんですか?

そうですね、オススメはソースカツ丼ですね、ソースカツ丼のソースから自分で作っていまして、「ソースだけ売ってないの?」って聞いていただけるくらい人気です。あとはカレー焼きそばも人気ですね、一度番組で久本雅美さんが食べにきてくれたこともあるんです。焼きそばの上にカレーがかかっているんですが、美味しいと言っていただけています。

ボックスを自分のお店として利用できる、作家さんたちに優しい画期的なシステム。

たくさんの作家さんがスペースを利用して商品を販売している

---お店の中を見渡すと、ジャンルも様々な雑貨がたくさん置いてありますね、それに合わせてボックスがたくさん置いてあるんですね。

そうです、このボックスを皆さんにお貸ししているんです。

---ボックスを貸しているんですか?

そうです、そのボックス一つを月2000円だけ頂いてお貸ししています。あとはレイアウトや商品を何置くかとかすべて自由にして貰って、小さいお店を持った感覚で好きにして貰っています。商品が売れればその売り上げは全て作家さんにお渡ししています。

---なるほど、1店舗だったり場所を貸すのは聞いたことありますが、ボックス一つを貸すというのは画期的で面白いですね。

初めの頃はお店のスペースを漆器屋さんに貸していたりしていたのですが、ここの地域で手作りのグッズを置いたりするお店はなくて、たくさんの方にプロも趣味の人も関係なく作ったものを置いて売れるところがいいなと思って、このシステムにしました。作家さんたちにはテスト販売の感覚で置いて貰えたらなと思ってます。最近だとネットを使って商品を販売できたりしますが、手数料が高かったりして、それなりの値段で販売しなきゃいけなかったり、それに一番は買ってくれた人の顔が見えないですよね、実際に買ってくれた人が満足してくれているのかとか実際に顔を見て販売することで、喜んでくれれば自信にも繋がるし、反響を確認してから出店してもいいのかなと、そのきっかけを作れる場所だと思ってもらえれば嬉しいです。

---様々な商品があって楽しい空間ですね。

そうですよね、こうやって置いてくれている作家さんたちと一緒に年に2、3回イベントをやったり、クラシックの音楽祭のイベントにも毎年参加させて貰ったり、作家さんたちで交流会をして、コラボ商品を作ったり、正直売れてない方もいらっしゃるんですが交流会とかに出るのが楽しいからという理由で置いてもらえている作家さんもいるので、皆さん楽しみながら参加してくれていると思います。

もっと地域の人にも知ってほしい、観光地でありながら地域に根付いた場所に。

---そんな中、今回取材を承諾いただけた理由とはなんだったんでしょうか。

来るもの拒まずです笑
せっかく発信していただけるならお願いしたいと思いまして。自分でも苦手ではありますがFacebookで発信したりしています。今友達は900人くらいいてFacebookを見て来てくれたり、商店街の人が自分の投稿をシェアして広めてくれたり、あまりインターネットとか得意ではないですけど、こういった発信するというのは重要だなとは思っています。

---そうですね、そういった発信といった部分では僕たちもお手伝いできればと思っています。
今はどういったお客さんが多いでしょうか。

修学旅行生が多いです。あとは地元の40〜50代の方や台湾から来た方だったり、福島空港があるので台湾の人が来てるんだと思います。でも台湾からの直行便が少なくなってしまうかもしれないので、減ってしまうかもしれませんね。県外から来てくださる方もいらっしゃいます。東京から来てくれる方や、3ヶ月に一回埼玉から来てくださる方もいるんですよ。

---色んなところからいらっしゃるんですね、結構地元の方もいらっしゃるんですか?

それがあまり地元の人は来ないんです。お店にというか町にあまり来ないといった感じです。ここ「七日町」は観光地と言う印象があって逆に地元の人は来ないんです。私も七日町にお店を構えるまであまり来なかったです。駐車場が比較的少なくて、あっても有料な所で少し寄って買い物するには少し来ずらい印象でした。でもここに来る機会が増えて街を歩いたりしてみると結構面白いお店がたくさんあったり、蔵を改装した建物や大正時代の街並みのような場所があったり結構楽しいんです。この前もお店で地元の方が宴会で来てくれた時も、「こんなお店あるんだーまた今度ゆっくり来よう!」と言ってくれていました。なのでもっと地元の人にもこういうお店があるんだよってことを知って貰って、足を運んでみてほしいですね。

みんなで創っていく、損得では測れない街の良さ

---もっとこのお店や町の良さを知って、ぜひ地元の方にも足を運んでほしいですね。この町の良さはどう言ったところにあるのでしょうか。

そうですね、ご近所付き合いの良さですかね。各々のお店が他のお店を気にかけてくださっていて、おかげで楽しくやらせてもらっています。
町がというより会津という地域の人たちは自分だけが頑張るのではダメで、地域ぐるみでいろいろやっていかないといけないんです。それくらい人口も少ない地域なので。自分だけ良くて地域は関係ないでは良く無いですし、うまくいきません。みんなが協力して町ぐるみや、地域ぐるみでやっていかないと厳しいからこそ、周りとの団結力が強いです。これは都心部ではあまり無い地方ならではの良さじゃないかなと思います。イベントをやったりする時も町のみんなに「参加しませんか」と協力してくれる人を探して一緒にやったり、うちのお店では年越しに3時まで年越しそばを販売しているので、Facebookで宣伝します。この時も自分達だけの宣伝だけではなく「ここのお店も3時までやってます、どこどこも3時までやります。なので皆さん年越しは七日町に来てください」と他のお店も一緒に宣伝します。やっぱりできる人ができることを町のためにやるのが大事なのかなと思うので。一見自分達が年越しそばを売っているのに他のお店も一緒に宣伝したらお客さんがとられてしまって困るんじゃ無いかと思うじゃないですか、確かに困るんですけど笑
それよりも、あそこのお店にはあれがありますよ、あっちにはこれがありますよと、いろいろ選択肢があって色んな人が来てくれたほうがみんながwin-winで、そうなる方が大事だと思うんです。Facebookでお店のことを宣伝すると、他のお店の人がシェアしてくれるおかげで広まったりしますし、地域の繋がりがとても大きいと思います。このお店もそうで、アトリエにたくさんの作家さんが商品を置いてくれてウチだけが儲かるだけじゃダメで、たとえ赤字だとしても作家さんたちのためにイベントをやって色んな人に見てもらう機会を作ったりしています。そういう所がこの町や会津の良さなのかなと思います。

色んな人が集まって、色んなことをここから発信してほしい。

---たくさんお話ししてくださりありがとうございます。最後に若者に向けてメッセージをいただけますか。

はい、会津は「何かを始めたい」をやり易い地域だと思います。そのために是非うちを利用してほしいですね。「よろずや」という名前のように、何でも屋みたいな感じなので、イベントやってもらったり、アトリエに自分が作ったものを置いてくれたり、飲み会をしたり、何かを作りたいとか何かをしていきたい、発信していきたいって人にうちを是非使っていただけたら嬉しいです。そういう人たちのお手伝いをできる場所でありたいなと思います。その中でよくよくは企業や、お店を持ちたいって人もいるので、そういう人の支援や補助金のお手伝いとして、ここで講座や相談会をしたりしているので是非活用して欲しいです。

会津の方に取材をさせていただいてる中で、皆さん形は違えど周りや地域のためという言葉を多く聞くことがある、これは本当に会津という地域の特徴でもあるし、私たちが忘れかけている人間としての本質の部分なのではなのだろうか。
何かを始めたい、何かを作りたい、そんな人は是非「会津よろずや」さんを一度訪ねてみてはいかがだろうか。

写真左側、チワワのゆず店長は、この記事の取材の後、2020年1月に天国へ旅立ちました

会津よろずや

営業時間 月〜日 10:00-17:00 定休日:火曜日(祝日の場合翌日)
〒965-0004 福島県会津若松市七日町2-37
七日町駅より徒歩4分 / 会津若松駅より車で10分

食べログ:会津よろずや
Facebook:facebook.com/会津よろずや
Twitter:https://twitter.com/aiduyorozuya
Instagram:https://www.instagram.com/